1935年創業の日本の革ジャンメーカーカドヤ。本社工場ヘッドファクトリーから生み出されるプロダクト、オーダーメイド、リペア、カスタムの仕様や製作過程、レザーやライダースジャケットにまつわるエピソードなどを発信。「日本のものづくりと職人の拘り」を綴ったブログです。

プチカスタム

先週末の土日は、本店で開催された夏のバーゲンセールに参加しました。


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常連様はもとより、はじめてお目に掛かるお客様方からも、いろいろな興味深いお話を聞かせていただき、とても勉強になる二日間と相成りました。

ツーリングでの苦労話や、バイクや革ジャンに対する拘りなどなど、やはりKADOYAに来店されるお客様は一筋縄ではいかない個性的な方が多くて、つい会話にのめり込んでしまいます。

そんな中で、個人的に印象に残ったお客様とのやり取り、、、


レザーパンツを物色されているその方、お話を伺っていると、ポケットに対する拘りが非常に強い方だという事が伝わってきます。

「ポケットマニア」を自称するその方は、3種類のレザーカーゴパンツを試着され、そのうちから一本をお選びいただきました。

残念ながらボツになった残り2本の敗因は、ポケットのマチ容量やフラップの縫い付け方などなど、どれも着眼点はポケットにまつわるディテールで、なるほど~そこをそう見ますか、とこちらが唸ってしまう様な独特な判定理由はかなり斬新で、接客中にもかかわらず失礼ながら顔のニヤけを抑える事が出来ませんでした。


パンツのフィッティングがひと段落すると、お次はパンチングレザージャケットのコーナーへ。

「肩と肘にパッド用のポケットがついてるんだね? いいね~」

「脊椎ポケットもついてるね、 ん? ここにもポケットがあるね、何用なの?」

「はい、パンチングレザーは意外と風を通しますので、何かウインドブレイカーなどの薄手の端織物をその中に収納しておくと、山道などで肌寒くなった時に安心です」

「なるほどーいいねー」

「ん、内ポケットの中が底なしだけどこれでいいの?」

「はい、そちらは内ポケットではなく、チェストプロテクター用の入り口です」

「そーなんだ、内ポケットはないの? あーこの下に付いてるのが内ポケットか! いいねー」

と、スマートフォンの納まりを確かめるお客様。

「お、胸にも二つポケットがあるんだね、ちゃんとチャックもついてる、 あれ? お腹には付いてないの? 残念、、、」

右肩上がりで上昇している様に見受けられたお客様のテンションが、一瞬にして冷め切ってしまったご様子。

脇腹ポケットの無いそのモデルは、ギリギリのところでお客様の射程範囲から外れた模様です。

ここで気の利いた提案の一つもなければ、工場から出てきた私に存在意義はありません。


「お客様、費用は掛かってしまいますが、ポケットを任意の位置に増設することは出来ますが」

「え?! そんなこと出来るの?!」

「出来るんです、KADOYAでは」

「お兄さん、魅力的なこと言うね~」

その後、増設するポケットの位置と仕様を話し合い、お客様は納得されたご様子でご購入に至りました。


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既製品のデザインと仕様は、メーカーが考えるひとつの完成型です。

内心、だから手を加えずに着て頂くのがベストなのだと思うところはありますが、お客様にとって微妙に「無し」であったモデルが、ちょっとしたカスタマイズでそれぞれのマストアイテムに豹変するのであれば、これほど良いことはありません。

多分、KADOYAの店舗では、このようなお客様とのやり取りは日常茶飯事なのでしょうが、私にとっては大変貴重な体験でして、手前味噌ではありますが、なかなかKADOYAは夢のある仕事をしているな~、などと、一人悦に浸れた2日間でした。


ご来店くださった皆様、ありがとうございました!


【市島】
2017-08-04 : 未分類 :
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プロフィール

head factory

Author:head factory
創業1935年、日本の革ジャンメーカー浅草カドヤ。本社工場ザ・ヘッドファクトリーでは、職人それぞれが一人一着縫いにて既製品の製作、オーダーメイド、カスタム、リペア、そして製品管理を行なっています。
所在地:東京都台東区西浅草3-29-21 株式会社カドヤ本社ビル 6F/7F

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